中古物件を探している方は、不動産会社を利用するだけでなく、空き家バンクでも物件探しが可能です。 こちらを利用することで、費用を抑えながら空き家を購入できる可能性がありますが、実際利用する際はいくつかポイントを押さえなければいけません。 今回は、空き家バンクで不動産を探す場合の注意点について解説します。
空き家バンクの概要
空き家バンクとは、全国の市区町村が提供する、空き家または空き地のマッチングシステムです。 市区町村の空き家担当部署が窓口となり、空き家または空き地を売りたい、貸したい人と、買いたい、借りたい人をつなげます。 また、空き家バンクへの登録には費用がかからないことから、売り出されるもしくは貸し出されている物件の価格は、比較的安い傾向にあります。 そのため、あまり予算に余裕がないという方でも、空き家バンクを利用すれば、理想に近い不動産を購入できる可能性があります。
空き家バンクで不動産を探す場合の注意点
空き家バンクは非常に便利なサービスではありますが、こちらを利用して不動産を探そうとする方は、以下の点に注意しなければいけません。 ・持ち主と直接交渉しなければいけない ・詳しい物件情報が掲載されていない ・仲介手数料がかかるケースが多い ・そもそも普及率が高くない ・手続きに時間がかかる
持ち主と直接交渉しなければいけない
空き家バンクで不動産を購入する場合、買主は直接空き家の持ち主と交渉しなければいけません。 こちらは、運営する自治体が営利目的ではなく、契約や仲介に関与しないことが理由です。 そのため、交渉時にトラブルなどが発生したとしても、自身で解決する必要があり、初めて不動産を購入する方にとってはハードルが高いと言えます。 また、自治体によっては、トラブルを防止するために不動産会社を紹介してくれることもありますが、こちらは買主自身が選択できるとは限りません。 中には、自治体が選んだ不動産会社の利用を、購入条件の一つにしているところもあります。 よって、あまり質の良くない不動産会社に仲介されることも考えられます。
詳しい物件情報が掲載されていない
空き家バンクで売りに出されている不動産は、あまり詳しい物件情報が掲載されていません。 こちらは、不法侵入やイタズラのリスクを軽減するためと言われています。 詳しい物件情報を掲載すると、誰も居住していない物件の情報を公開することになり、浮浪者が棲みついたり、放火されたりする可能性があります。 そのため、空き家の購入を決める前や入居前には、必ず現地に足を運び、敷地内や周辺環境を確認しておかなければいけません。
仲介手数料がかかるケースが多い
先ほども触れたように、空き家バンクを利用する際には、自治体が不動産会社を紹介してくれることがあります。 これにより、トラブルの心配は少なくなりますが、仲介を依頼していることから、当然手数料が発生します。 そのため、同じくらいの仲介手数料がかかるのであれば、より取り扱っている物件数が多く、なおかつ詳しい物件情報を公開している不動産会社を利用した方がお得なケースもあります。
そもそも普及率が高くない
空き家バンクは、1990年代頃から始まり、2000年代前半からは設立が相次いだサービスです。 しかし、制度としての普及率については、決して十分とは言えません。 国土交通省の総務省統計局による“平成30年 住宅・土地統計調査”によると、令和4年5月時点で空き家バンクに参加している自治体数は889、登録物件数は1万戸以上です。 これに対し、全国の空き家の数は、2019年時点で846万戸であり、現在はもっと増えていることが予想されます。 そのため、空き家バンクを利用し、自身の希望をすべて満たしている不動産を格安で購入できる可能性は、お世辞にも高くないと言えます。
手続きに時間がかかる
空き家バンクで不動産を購入する場合、不動産会社に依頼するケースと比べて、手続きに時間がかかる可能性があります。 購入の流れとしては、まず自治体のホームページなどにアクセスし、空き家バンクのページから物件探しを行います。 その後、物件の規制の有無を確認し、自治体で利用できる助成金や優遇制度がないかどうかもあわせて確認します。 また、物件の目星をつけた後は、内見を申し込み、宿泊体験などを行います。 最後に、売主と入居について交渉し、条件がまとまれば契約という流れになります。 不動産会社が間に入ってくれる自治体では、ある程度スムーズに手続きが進むことが考えられますが、買主が直接不動産会社に依頼するケースと比べると、それほど手厚いサービスは期待できません。
まとめ
ここまで、空き家バンクで不動産を探す場合の注意点について解説しましたが、いかがでしたでしょうか? 空き家バンクは、空き家の売り手と買い手をつなげてくれるサービスではありますが、登録されている物件は決して多くありません。 また、通常の不動産売買にはない手続きも多いため、「物件が安い」という理由だけで利用することのないようにしましょう。