【被相続人向け】知っておきたい不動産の相続対策について

相続に関すること

不動産の相続対策とは、その名の通り、相続不動産について支払う相続税を少なくする対策のことをいいます。 こちらは主に不動産を相続する側、つまり被相続人となる方が行う対策で、その方法は数えきれないほどあります。 今回は、ぜひ知っておくべき、相続対策の具体的な方法について解説したいと思います。

生前贈与で財産を減らす

生存している方から、別の個人に対して無償で財産を渡すことを生前贈与といいます。 具体的には、生きている間に不動産などの財産を子ども等に移転し、相続財産を減らすことで、支払う相続税を少なくするという方法です。 ただし、何も考えずに生前贈与を行うと、かえって税負担が大きくなる可能性もあるため、注意しなければいけません。 なぜなら、生前贈与は贈与税の対象になるからです。 つまり、相続税を減らすために生前贈与をしたにもかかわらず、贈与税の負担が大きくなってしまうと、ほとんど節税効果が生まれないどころか、トータルの負担額は増加してしまうということです。 そのため、被相続人の方は、不動産の生前贈与を行う際、相続対策として相続時精算課税制度を利用しましょう。 こちらは、60歳以上の親または祖父母から、20歳以上の子どもや孫に対する贈与のうち、2,500万円までを非課税とする制度です。

収益物件を贈与する

被相続人となる方が、マンションなどの収益物件を所有している場合、賃料収入が発生します。 もちろん、賃料収入が入ってくる状況が続くと、必然的に相続財産は増えるため、相続税の負担額は高くなります。 一方、早い段階で子どもや孫に対し、収益物件を贈与しておけば、相続財産や相続税の金額は高くなりません。 こちらも、不動産の相続対策の1つであり、実際に行う際には、事前に贈与のタイミング、贈与後における賃料収入に関することも把握しておくべきです。

小規模宅地等の特例を活用する

一定の要件をクリアすると、土地の相続税評価額を最大80%減額できる制度が小規模宅地の特例です。 被相続人が居住用に使っていた土地を同居の親族が相続し、その土地に住み続ける場合に適用されます。 例えば、被相続人が持つマイホームの敷地における相続税評価額が1億円だったとします。 こちらの土地に小規模宅地の特例が適用されると、2,000万円の評価で相続税が計算できるため、相続人の金銭的な負担はほとんど発生しません。 ただし、小規模宅地の特例における要件は非常に複雑です。 宅地の種類や取得者、限度面積や減額割合など、活用する際には細かいルールを把握しておかなければいけないため、注意してください。 なお、被相続人が亡くなる前に老人ホームなどの高齢者施設に入居していた場合であっても、一定の要件を満たせば、小規模宅地等の特例を受けることが可能です。

預貯金を不動産に換える

現時点で不動産を所有していない被相続人の方は、預貯金を不動産に換えることでも、相続対策を取ることができます。 つまり、相続対策のために、預貯金で不動産を購入すべきだということです。 被相続人の相続財産の価値を計算する際、土地や建物の価値は実勢価格よりも安く評価されるのが原則です。 また、相続税評価額は1年に1回、固定資産税評価額は3年に1回更新されますが、いずれも実勢価格の7~8割程度を目安に定めることになっています。 そのため、例えば被相続人が1億円で購入した土地が、実際には1億円で売れるものであったとしても、相続財産としての評価額は7,000~8,000万円程度にまで下がります。 不動産自体の価値は1億円で変わらないため、被相続人の方は損をせずに相続対策を取ることができます。

墓地や仏具を生前に購入する

こちらも、特に不動産を所有していない被相続人の方が実施すべき相続対策ですが、生前に墓地や仏具を購入すれば、相続財産を減らすことが可能です。 墓地や墓石、仏壇、仏具には、相続税が課税されません。 そのため、生前のうちに預貯金をこれらに換えておくことにより、相続税の総額は安くなります。 例えば、預貯金1,000万円を持っている状態で被相続人の方が亡くなった場合、相続財産はそのまま1,000万円になります。 一方、生前に墓地、墓石、仏壇、仏具を500万円分購入すれば、預貯金は500万円となり、こちらの金額に対してのみ相続税が課税されます。 ちなみに、墓地や墓石以外でいうと、以下のものにも相続税は課税されません。 ・生命保険金等の一部 ・死亡退職金等の一部 ・国や地方公共団体へ寄付した財産 ・公共事業用財産 ・心身障害者共済制度の給付金を受ける権利 ・個人経営の幼稚園事業等の財産 など

まとめ

今回解説した不動産の相続対策は、あくまで代表的な方法であり、他にもまだまだ実践すべきことはたくさんあります。 ただし、相続財産や被相続人、相続人の状況により、適切な相続対策の方法は変わってくるため、相続対策をするのであれば、事前に税理士などの専門家に相談することをおすすめします。 また、税理士を選ぶ際には、相続税のノウハウが豊富であり、なおかつ税務調査対策も可能な方を選ぶようにしましょう。

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