親からの相続があった方の中には、現在使用していない空き家を所有したままになっている方も多いです。 また、空き家の活用方法には、土地活用や居住、売却などがありますが、その一環として建物を取り壊すケースがあります。 今回は、空き家の解体におけるメリット・デメリットについて解説します。
空き家の解体におけるメリット
空き家を解体することには、以下のようなメリットがあります。 ・維持管理が不要になる ・倒壊や防犯のリスクがなくなる ・買い手が見つかりやすくなる
維持管理が不要になる
空き家を解体せずに所有している場合には、維持管理が必要となるだけでなく、その規模に応じた固定資産税や都市計画税、修繕などの費用が発生します。 例えば、建物の管理としては、定期的な雑草の処理や樹木の選定、清掃、郵便物の処理、傷んだ箇所の修繕などが必要となります。 また、管理がずさんで周囲に悪影響を及ぼす場合には、行政により特定空き家に指定されてしまうことがあります。 特定空き家に指定された場合には、固定資産税が6倍、都市計画税と3倍となってしまうため、大幅なコスト増となりますが、解体すればこのような心配はありません。
倒壊や防犯のリスクがなくなる
空き家を解体することにより、倒壊や防犯リスクがなくなります。 住み続けていれば問題ないですが、人が住んでいない家であれば劣化のスピードは想像以上に早くなります。 表面上は見えない基礎の部分や、柱や梁などがシロアリに食い荒らされてボロボロになったり、度重なる地震で家にダメージが与えられたりと、倒壊のリスクは上昇していきます。 また、一軒家に日常的に人がいる気配がなければ犯罪者の住処となるリスクや、放火犯に狙われるリスクもあります。 空き家の解体には、これらのリスクがなくなるメリットがあります。
買い手が見つかりやすくなる
更地は一般的に、市場における需要が高い物件です。 土地の上に建物がないため、地盤調査や地中埋没物の確認など、住宅を建築する際に必要な作業が実施しやすいことも人気の理由です。 新築する場合の基準に満たない場合でも、地盤改良をしておけば、売却につながる可能性が高まるでしょう。 また、空き家を解体すれば、土地の大きさや形もわかりやすく、新築希望者にとってもマイホームのイメージがしやすいです。 その他、解体の手間がないため、新築工事にすぐ着工できるという点でも、買い手にとって嬉しい点だと言えます。
空き家の解体におけるデメリット
一方で、空き家を解体することには以下のようなデメリットもあります。 ・解体工事の手間や費用がかかる ・税制面の負担が大きくなる ・解体業者の選択が難しい
解体工事の手間や費用がかかる
空き家を解体して更地にする場合、解体工事をする手間がかかります。 空き家の解体工事を行う場合には、解体工事業者に依頼したり、近隣へ工事前のあいさつ周りをしたり、様々な手間がかかってしまいます。 さらに、最近では解体工事をする前に、家の所有者がある程度不用品を分別しなくてはならないケースも多いです。 その他、解体後には建物滅失登記も必要です。 また、解体工事にかかる費用については、地域や条件によって異なりますが、100~300万円程度かかるのが一般的です。 具体的には、木造で1坪40,000~50,000円程度、鉄骨造で1坪60,000~70,000円程度、RC造で1坪60,000~80,000円程度が目安となっていて、こちらの費用を捻出できない場合は、解体を選択するのが難しくなります。
税制面の負担が大きくなる
空き家を解体し、更地にすることにより、税制面の負担が大きくなります。 空き家をそのまま所有している場合、固定資産税や都市計画税の軽減措置を受けられることがあります。 しかし、建物がなくなると、土地の税金軽減措置は受けられなくなり、土地部分の税金顎が高くなります。 また、空き家を解体しても土地自体は残るため、固定資産税や都市計画税など、土地に関する税金は引き続き課税されます。 つまり、何のプランもなく空き家を解体することにより、所有者の経済状況は大きく圧迫される可能性があるということです。
解体業者の選択が難しい
空き家の建物の解体は、建設業あるいは解体工事業の登録事業者に依頼しなければなりません。 解体業者は、ネット上にホームページを持たないところも多いため、業者同士を比較しにくい傾向にあります。 中には、見積もりを無視した請求を行う業者や、周辺住民への配慮をしないような悪質な業者も見られます。 もちろん、真っ当な商売をする業者も多く存在しますので、不動産会社から紹介を受けたり、免許の有無を確認したりするなどして、信頼できる業者に依頼できるように見極めましょう。
まとめ
ここまで、空き家の解体におけるメリット・デメリットを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか? 明確な用途が決定している方は、空き家を取り壊しても問題ありませんが、単純に建物の管理が面倒などの理由だけで更地にすると、後々処分の手間や費用が大きくなる可能性があります。 ちなみに、売却を検討している場合は、よっぽど建物の状態が良くない限り、解体する方が得をするケースが多いです。