不動産相続の手続きを行うにあたっては、非常に多くの書類が必要になります。 また、相続人が遠方に住んでいる場合などは、郵送に時間がかかることもあるため、相続が発生したら、すぐに書類を集めなければいけません。 ここからは、不動産相続で必要になる主な書類について解説します。
不動産相続で必要になる主な書類
不動産相続の手続きにおいて必要な書類は、主に以下の通りです。 ・戸籍謄本 ・印鑑証明書 ・住民票、住民票の除票 ・遺産分割協議書 ・登記事項証明書 ・固定資産評価証明書
戸籍謄本
戸籍謄本とは、個人の身分事項が記載された戸籍簿の写しのことをいいます。 戸籍簿には、出生や結婚、死亡など個人の一生が記録されています。 また、戸籍簿は役所で保管されていて、本人などが役所へ申請すると戸籍謄本を発行してもらえます。 住民票には現住所が記載されていますが、戸籍謄本には本籍地と身分事項が書かれているという違いがあります。 ちなみに、不動産相続の手続きでは、相続人全員の戸籍謄本、被相続人の戸籍謄本（出生時から死亡時まで）を必要書類として用意しなければいけません。
印鑑証明書
印鑑証明書とは、印鑑登録された印鑑の印影と登録した人の情報（氏名、住所、生年月日、性別など）が記載されている書類のことをいいます。 その印鑑が、自治体で登録された本人の印鑑に間違いないことを証明するものです。 不動産相続では、相続人全員の印鑑証明書が必要になるため、早めに用意しておきましょう。
住民票、住民票の除票
住民票とは、市町村と特別区で作成される住民に関する記録のことをいい、不動産相続においては、不動産を相続する人物の住民票を用意しなければいけません。 また、不動産相続の必要書類としては、被相続人の住民票の除票も挙げられます。 住民票の除票とは、他の市区町村へ転出したり、死亡などにより住民登録が消除等されたりした住民票のことをいいます。 住民票の除票の写しには、住民票に記載されている事項（氏名、生年月日、住所、個人番号など）の他に、転出の場合には転出先の住所と異動年月日、死亡の場合には死亡年月日が記載されています。
遺産分割協議書
遺産分割協議書とは、遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類のことをいいます。 遺産分割協議には、相続人全員の参加が必要で、話し合いによって遺産分割の方法と相続の割合を決めていきます。 遺産分割協議によって相続人全員の合意が得られたら、その内容をまとめた遺産分割協議書を作成します。 ちなみに、遺産分割協議書の書式は決まっていませんが、相続人全員が署名し、実印を押印する必要があります。 また、印鑑証明書も添付し、相続人全員が同じものを1通ずつ所持します。 もちろん、遺言書が存在する場合、こちらの遺産分割協議書は必要ありません。
登記事項証明書
登記事項証明書とは、登記記録の内容を記載した書類のことで、コンピュータで処理したデータを専用用紙に印刷したものです。 現状は、登記情報を紙の登記簿とコンピュータ（登記記録）の両方で管理していて、登記簿原本を転写することがなくなったことから、登記事項証明書という名称に変更されました。 そのため、一般的には登記簿謄本という言葉が使われることが多いですが、正確には登記事項証明書ということになります。 また、登記事項証明書には土地や建物ごとの所在地や所有者などの情報が記載されていますが、その内容自体は登記簿謄本と変わりはありません。 不動産相続では、相続の対象となる不動産の登記事項証明書を必要書類として用意することが求められます。
固定資産評価証明書
固定資産評価証明書とは、土地や建物など、固定資産税の課税対象となる資産について、その評価額を証明する書類のことをいいます。 固定資産税の課税対象は土地や家屋といった不動産のほか、機械設備や車両など事業用の償却資産も含まれます。 不動産相続では、当然当該不動産における固定資産評価証明書が必要になります。
不動産相続の必要書類を用意する際のポイント
前述した必要書類は、基本的にすべて原本を提出します。 提出した原本は、原本還付の手続きをしなければ返却されないため、注意してください。 また、不動産相続の手続きでは、原本還付の手続きを何度も行う必要がありますが、このときに利用したいのが法定相続証明情報制度というものです。 こちらは、不動産を含む相続手続きのときに提出する戸籍の束が、法定相続情報一覧図の写しという書類1枚で済むようになる制度です。 制度を利用するには、一定の書式にしたがって法定相続情報一覧図を作成し、法務局に被相続人及び相続人の戸籍謄本、相続人の住民票の写しなどを提出し、登記官の認証を付してもらった後、写しを発行してもらう必要があります。
まとめ
ここまで、不動産相続で必要になる主な書類について解説しましたが、いかがでしたでしょうか？ 不動産相続の発生時は、両親などの被相続人が死亡したときであることが多く、気持ちの整理がなかなかつかないということもあるでしょう。 しかし、相続手続きには期限が存在するため、必要な手続きや書類集めに関しては、遅れないように行うことが大切です。
