不動産を所有する方は、今後被相続人になることを考えて、さまざまな準備を行う必要があります。 具体的には、遺言書の作成や節税対策などが挙げられますが、こちらの準備の一つに“エンディングノート”の作成が挙げられます。 ここからは、不動産相続に向けて作成するエンディングノートについて解説します。
エンディングノートの概要
エンディングノートは、被相続人が亡くなったときのために、遺族にお願いしたいことを書き留めておくノートです。 いわゆる終活で使用されることも多く、すでにフォーマット化され、専用のノートも販売されています。 もちろん、市販されている一般的なノートに情報を書き込み、エンディングノートとして遺すこともできます。 また、パソコンのソフトやスマホアプリでも書くことができるため、気軽に始めることができるのが特徴です。
エンディングノートのメリット
不動産相続に向けて作成するエンディングノートの主なメリットは以下の通りです。 ・自由に書くことができる ・自身の思いを伝えられる ・遺族の負担を減らせる
自由に書くことができる
エンディングノートは、遺言書とは違い、書く内容が決まっているわけではありません。 例えば、遺言書を自筆証書遺言で作成する場合、遺言の作成日や遺言書の氏名、遺言内容を必ず本人が自筆し、押印しなければいけないという決まりがありますが、エンディングノートはこのような縛りなく書くことができます。 また、随時書くことを思いついたときに書き足したり、修正したりすることも可能です。
自身の思いを伝えられる
先ほども触れたように、不動産相続に向けて作成するエンディングノートは、さまざまなことを自由に書くことができます。 そのため、遺族に対して自身の思いをメッセージとして遺したり、自身の歴史を書くことで、家族も知らなかったことや思い出を共有したりと、さまざまな使い方が可能です。
遺族の負担を減らせる
不動産相続に関する自身の希望や、税金の捻出方法などについてエンディングノートに明記することで、自身の判断能力が衰えたり、意思表示ができなくなったりした場合でも、遺族が迷うことなくさまざまな選択をすることができます。 こちらは、遺族の負担を減らすことにつながります。
不動産相続に向けて作成するエンディングノートの記入内容
不動産相続に向けてエンディングノートを作成する場合は、もちろんその不動産に関する必要な情報をまとめ、記入する必要があります。 具体的には、以下のような項目です。 ・不動産の種類(土地、戸建て、アパート、マンション、田畑、山林など) ・不動産の用途(自宅、別荘、事務所、収益物件など) ・不動産の住所(登記上の住所、異なる場合は実際の住所) ・不動産の名義 ・想定時価 ・利用者の連絡先(利用者や管理者が他にいる場合) など
不動産相続に向けて作成するエンディングノートの注意点
不動産相続に向けてエンディングノートを作成する場合は、以下の点に注意してください。 ・法的な効力はない ・保管場所を知らせておく ・最後まで作成する
法的な効力はない
不動産相続に向けて作成するエンディングノートは、自由に内容を書き足したり、修正したりすることができますが、遺言書とは違って法的な効力はありません。 そのため、不動産の引き継ぎ方などについて指定したいときは、遺言書を作成しましょう。 また、遺言書は法律で定められた通りに作成しなければ、法的効力を発揮しないため、エンディングノートとは別の機会に作成することをおすすめします。
保管場所を知らせておく
エンディングノートを作成した後は、必ず保管場所を遺族に知らせておきましょう。 せっかくエンディングノートを作成していても、遺族の手に渡らなければ意味がありません。 保管場所の例としては、本棚や食器棚、仏壇、机の引き出しなど、万が一のときでも見つけてもらいやすいところが挙げられます。 あらかじめ、信頼できる遺族にエンディングノートを渡しておいても構いません。 ちなみに、貸金庫など、本人以外が開けるのが難しい場所には保管しないようにしましょう。
最後まで作成する
エンディングノートは、思い立ったタイミングで作成し、その後も適宜空欄を埋めていくという方法でも作成できますが、必ず最後まで作成するようにしましょう。 つまり、中途半端な状態で引き継がないということです。 例えば、不動産の情報について、被相続人となる本人が調べなければわからない情報だけを空欄にしたまま亡くなってしまうと、遺された遺族にはある程度負担がかかってしまいます。
まとめ
ここまで、不動産相続に向けて作成するエンディングノートについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか? エンディングノートは、作成義務のあるものではありませんが、少しでも遺族のためになるものを遺したいというのであれば、作成して損はありません。 ただし、不動産の引き継ぎ方、相続人同士の関係などが複雑な場合は、遺言書によって内容をまとめることをおすすめします。