親などから相続する物件は、すべてが居住用物件とは限りません。 中には、マンションなどの投資用不動産を引き継ぐというケースもあります。 では、投資用不動産を相続した方は、どのような手続きを行う必要があるのでしょうか? ここからは、特に重要な8つの手続きとその内容について解説したいと思います。
投資用不動産を相続した方が行う手続き8選
マンションなどの投資用不動産を引き継いだ方は、以下のような手続きを一つずつ行う必要があります。 ・相続人の決定 ・家賃の処理 ・団体信用生命保険加入の確認 ・名義変更 ・準確定申告 ・相続税の支払い ・管理会社、賃借人への通知 ・運用継続の判断
相続人の決定
投資用不動産を相続したのが一人の相続人であれば、そのまま相続できますが、複数の相続人がいる場合は、遺言書が存在しない限り、相続人同士で誰が引き継ぐのかを話し合い、決定しなければいけません。 このとき、トラブルが起こらないよう、きちんと遺産分割協議書を作成する必要があります。
家賃の処理
投資用不動産の運用は、賃借人から家賃を受け取ることによって成り立っています。 こちらは被相続人が亡くなったからといって、自動的にストップするわけではありません。 名義変更が完了するまでは、被相続人の口座に家賃が入金され続けます。 また、こちらの家賃における相続人については、投資用不動産の相続人と同一人物とは限らないため、別々に相続人同士で話し合って相続、処理する必要があります。
団体信用生命保険加入の確認
投資用不動産を相続した際には、被相続人が団体信用生命保険に加入しているかどうかも確認しなければいけません。 こちらは、ローン返済中、契約者に万が一のことがあったとき、ローン残高がゼロになるという仕組みの保険です。 一般的には、死亡などにより契約者がローンを返済できなくなった場合に、生命保険会社がローン残高に相当する保険金を銀行に支払い、債務の返済に充てることになっています。 被相続人がこちらに加入している場合、相続人は投資用不動産のローンが残っていても、支払わずに立て替えてもらうことができます。
名義変更
投資用不動産も、居住用不動産と同様に、相続したタイミングで名義を変更しなければいけません。 ただし、名義変更については、相続人が直接行うわけではなく、司法書士に依頼するのが一般的です。 このときには、司法書士への報酬などのコストがかかります。
準確定申告
準確定申告とは、亡くなった方の生前の所得税についての確定申告をいいます。 こちらは、亡くなった方の代わりに、相続人全員が共同で行う必要があり、必要有無については、国税庁のホームページ内にある「確定申告が必要な方」を確認することでわかります。
相続税の支払い
投資用不動産の相続時には、相続税が発生することがあり、こちらは相続人が支払わなければいけません。 ただし、相続した投資用不動産を含む被相続人の財産総額が基礎控除額を下回っている場合、相続税は発生しないため、安心してください。 また、基礎控除額については、以下の計算式で算出することができます。 ・3,000万円+600万円×法定相続人の人数
管理会社、賃借人への通知
投資用不動産を運用していた被相続人は、管理会社に運用業務を委託していた可能性が高いです。 物件情報などを確認すれば、管理会社はすぐに特定することができるため、相続後にはこちらにも被相続人が亡くなったことを通知しましょう。 また、管理会社だけでなく、その物件に住んでいる賃借人に対しても、同じように通知します。 こちらの目的は、被相続人に変わる窓口が誰になるのかを伝えるため、新たな家賃の振込口座を伝えるためです。
運用継続の判断
投資用不動産を相続した方中には、今後も投資用不動産を運用し続けなければならないと思っている方もいるかと思いますが、実際はそうではありません。 名義はすでに相続人に変わっているため、別の用途に使用しても良いですし、当然売却することも可能です。 特に、地方の投資用不動産などは、築年数が古いケースも多く、今後も投資用不動産を継続するには、莫大なコストと手間がかかる可能性があります。 そのような負担を背負いたくないという場合には、相続したタイミングで売却するのも1つの手です。 ただし、相続した投資用不動産に賃借人が残っている場合、すぐに売却をすることはできません。 このようなケースでは、売却の1年~1年半前までに、立ち退き勧告をする必要があります。 また、賃貸人側の都合であるため、賃借人に対して立ち退きを強く迫ることはできません。 あくまで話し合いを重ねながら、売却の時期までに穏便に立ち退いてもらうことが大切です。
まとめ
ここまで、投資用不動産を相続した方が行う8つの手続きについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか? 最後までご覧になっていただけた方はもうお分かりの通り、居住用不動産と投資用不動産とでは、相続後に必要な手続きがまったく違います。 そのため、親がマンション経営などを行っているという方は、今後に備えて前述したような知識を持っておくべきです。