空き家を所有するということは、人生でそう何度も経験することではありません。 また、相続などで急に取得した方の中には、どのように取り扱えば良いのかがわからず、なかなか手を付けられないという方も多いです。 ここからは、空き家の管理や処分に関する質問にお答えしたいと思います。
空き家を解体すると固定資産税はどれくらい上がる?
空き家が建っている土地の課税標準額は、住宅用地特例により200㎡までは評価額の1/6に、200㎡を超える部分については1/3に軽減する措置が取られています。 住宅を取り壊した場合はこの特例措置がなくなりますが、非住宅用地の課税標準額は、負担調整措置により評価額の約70%となります。 また、空き家を取り壊すことにより、建物の固定資産税はなくなります。 土地の評価額が低い場合などは、建物を解体することにより、税額が低くなる場合もあります。
空き家の解体にはどれくらいの費用がかかる?
空き家を管理、活用せず、解体する場合の費用は、木造や鉄筋コンクリートといった構造や大きさの違い、傾斜地や道路に接していないなどの立地条件、大型の重機を使用するなど工事の方法等により異なります。 あくまで概算ではありますが、重機等が使用可能で道路に接している35坪の空き家解体で、およそ150万円の実例があります。 より正確な金額を知るには、専門の解体業者による見積りが必要になるため、地域の解体業者等に相談してみましょう。
空き家の解体には共有者全員の同意が必要?
空き家を解体するには、その物件の共有者(相続人)全員の同意が必要です。 こちらは、民法にも記載されているルールです。 共有者が行方不明の場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任を申立て、その人に対して同意を求めていく方法もあります。 また、令和3年4月の民法改正(令和5年4月施行)により、裁判所に申立て、決定を得れば、所在不明の共有者以外の共有者全員の同意により、共有物に変更を加えることができるようになっています。
空き家が勧告や命令を受けるとどうなる?
空き家の管理が不十分なことなどが理由で、“空家等対策の推進に関する特別措置法”に基づく勧告を受けた場合には、固定資産税等の住宅用地の特例(軽減)から除外される場合があります。 また、命令に違反した場合には、50万円以下の過料を科されます。 さらに、倒壊の危険性があることや、不法投棄されたゴミが散乱していることなど、近隣周辺等への悪影響が解消されない場合、市によって強制撤去(行政代執行)をすることがあり、その費用は所有者等が負担することになるため、注意してください。
空き家の売却や賃貸はどこに相談すれば良い?
空き家を管理する負担が大きい方は、売却を検討するかと思いますが、このときには以下のような相談先が利用できます。 ・民間の不動産会社 ・空き家バンク ・市区町村の相談窓口 民間の不動産会社は、物件の価格査定や広告から契約締結まで、総合的なサポートをしてくれます。 また、空き家バンクでは、売却または賃貸等を希望する物件の登録を受け付けています。 市区町村ごとに制度の有無や内容等が異なるので、まずは市町村に問い合わせましょう。 ちなみに、各市区町村に専門の窓口が設置されていることもあり、こちらでは相談員が 売買、賃貸などの相談に応じ、場合によっては専門業者につないでくれます。
空き家はどれくらいの価格で売れる?
比較的空き家の管理が行き届いている場合や、リフォームされた物件、空き家になって間もない場合などは、現状のまま売買等の取引が成立する可能性が高いです。 しかし、居住するのが困難な状態までに老朽化した空き家は、解体費を考慮した価格で取引きされることがあるため、売却価格が低くなることが考えられます。 ちなみに、土地の条件なども価格に影響しますので、空き家等対策に関する協定を結んでいる宅地建物取引業協会や、全日本不動産協会などにも相談することをおすすめします。
空き家バンクって何?
空き家バンクは、各市区町村に空き家を所有する方と、空き家を利用して定住等を希望する方のマッチングをはかり、空き家の有効活用および当該市区町村への定住を促進するための制度です。 マッチングについては、空き家所有者の申し出により、空き家バンクに物件を登録し、その空き家を利用したい方の申し出によって行われ、こちらは仲介業者を介して交渉をすることもできます。 また、空き家バンクへの物件登録、利用登録など、登録に費用はかかりません。 ただし、不動産会社などの仲介業者を介して契約に至った場合は、仲介手数料等が発生します。
まとめ
ここまで、空き家の管理や処分に関する質問にお答えしてきましたが、いかがでしたでしょうか? 万全の体制で、相続による空き家の発生に対処できる方は、そう多くはありません。 しかし、建物を住居や賃貸物件などとして活用するのか、それとも売却するのかといった、大まかなポイントだけでも事前に決定しておき、相続人同士の意思も疎通させておけば、ある程度スムーズに対応することが可能です。