日本における空き家の現状や課題について解説します

相続に関すること

おおむね1年以上、生活や営業などに用いられていない特定の建物は、空き家に該当する可能性が高いです。 また、空き家は相続などで急に所有することになるケースが多く、その管理や処分に関しては課題が山積しています。 ここからは、日本における空き家の現状や課題について解説したいと思います。

空き家率について

空き家率とは、総住宅数に占める空き家の割合のことをいいます。 こちらは、総務省が5年ごとに実施する住宅・土地統計調査で公表されるもので、本調査でいう空き家は、以下のものに区分されます。 ・別荘の二次的住宅 ・賃貸用の住宅(空き家) ・売却用の住宅(空き家) ・居住者の死亡等により、居住世帯が長期にわたって不在のために、建て替えや取り壊すことになっているその他の住宅(空き家) 上記の中でも、特に増加が著しいのがその他の空き家であり、将来的に倒壊面や防犯面などの懸念があるため、実効性のある対策が求められています。

空き家が増える原因について

空き家の増加は、長年日本の課題として問題視されていますが、そもそも空き家が増える原因は一体何なのでしょうか? もっとも一般的な原因としては、自宅を所有する高齢者の方が、老人ホームなどの高齢者住宅、子どもの住宅などに転居することが挙げられます。 また、今後団塊の世代を含めた高齢者の方は急激に増加するため、それに伴い、空き家もさらに増加することが考えられます。 特に、駅から遠い利便性の良くないエリアにある住宅街では、高齢者の方が終の棲家として生活するのが難しいことから、空き家が一気に増加することが予想されます。

空き家が多いエリアについて

空き家の増加や放置は日本全体が抱える課題ですが、全国には特に空き家が多いエリアというものが存在します。 平成30年の住宅・土地統計調査における全国市区町村の空き家率ランキングは、以下のようになっています。 1位:北海道夕張市 2位:山口県周防大島町 3位:北海道歌志内市 4位:北海道三笠市 5位:和歌山県串本町 北海道夕張市、歌志内市、三笠市は、かつて炭鉱の街として栄えた自治体ですが、石炭産業の衰退で人口が減少し、使われなくなった住居が空き家となって多く残っています。 ちなみに、1位の北海道夕張市は、実に住宅全体の40%が空き家となっていて、自治体の規模を考えた結果、これらを整備するのは財政上非常に難しいのが現状です。

空き家が減らない理由について

これだけ長い間、空き家の増加が課題として叫ばれているにもかかわらず、なぜその数は減少しないのでしょうか? 1つは、先ほども触れたように、自宅を所有する高齢者の方が、高齢者施設や子どもの住宅に移るケースが多く、空き家の売却や解体がそれに追い付いていないということが挙げられます。 また、もう1つの理由は、空き家を所有する方の経済的な問題です。 空き家を解体するにはコストがかかりますし、費用を捻出して解体したとしても、住宅が建っていない土地では固定資産税の特例がなくなり、税率が上がってしまいます。 なんとか費用を工面して解体をしたにもかかわらず、税率が上がるというこちらの現状から、「それなら解体せずにそのままにしておこう」と考える方が増えるのも無理はありません。 ちなみに、空き家がいつ建築されたかによっては、その土地での再建築が認められない場合もあります。 このような再建築不可物件は、居住用・賃貸用問わず建物が建てられないため、宅地として機能せず、とても扱いづらくなってしまいます。

空き家が劣化する理由について

空き家を放置することによって生じる問題や課題は数多くありますが、中でも特に問題視されているのは、劣化による安全面、衛生面の悪影響です。 また、空き家が劣化する原因としては、主に以下の4つが挙げられます。 ・換気不足 ・給排水管、ガス管の劣化 ・雨漏り ・害虫、害獣の発生 住人がいる家は、扉や窓の開閉、換気扇等により、ある程度換気や空気の流れが発生しますが、空き家はどうしても換気不足になるため、建物の空気が滞留し、こちらはカビや湿気、木材の腐食などにつながります。 また、長い間使用していない給排水管やガス管は、管の内側に付着したヘドロや異物の乾燥、硬化により、ひび割れもしくは破損しやすい状態になります。 雨漏りに関しても、住人が住んでいれば発生後すぐに対処することができますが、空き家は手入れがされず、壊れたまま放置されることになるため、風雨が侵入し、建物の劣化速度を速める原因になります。 ちなみに、ホコリが害虫を発生させたり、人が住んでいないことから、ネズミ等の野生動物が棲みつき、糞尿や死骸で不衛生になったりすることも、劣化の原因の1つです。

まとめ

ここまで、日本における空き家増加の現状、課題などについて解説してきましたが、いかがでしたでしょうか? 現時点では無関係の方であっても、今後住宅を相続することになった場合、空き家に関するさまざまなトラブルに遭遇する可能性があります。 そのため、所有の可能性がある方は、事前にどのような対処をするのかについて、シミュレーションをしておくべきです。

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