空き家を相続した方の中には、処分の方法や、維持する場合の維持費など、わからないことも多いかと思います。 維持する場合は、維持費の詳細について把握しなければいけませんし、空き家の存在が社会全体に与える影響についても理解する必要があります。 今回はこれらの点について解説します。
空き家の維持費について
空き家を処分せずにそのまま維持する場合、以下のような維持費がかかります。 ・税金 ・保険料 ・その他の費用
税金
空き家の維持費としてもっとも代表的なのは、やはり税金です。 その1つが固定資産税であり、こちらは市町村によって定められた空き家の評価額に、ある一定の税率を掛けた額を納めなくてはいけません。 住んでいるエリアによって税率には多少バラつきがありますが、基本的には評価額に1.4%という税率がかけられます。 例えば、評価額が2,000万円の空き家を所有している方は、28万円の固定資産税が必要ということになります。 もう1つの税金は、都市計画税です。 都市計画で指定されている市街化区域というエリアにある空き家は、こちらの維持費の対象になります。 固定資産税が1.4%をかけるのに対し、都市計画税は空き家の評価額に0.3%をかけるのが一般的です。 2,000万円の空き家を所有している方は、6万円の都市計画税を支払うという事になります。 どちらの税金も、年間で数十万円が相場です。
保険料
空き家の維持費としては、保険料も挙げられます。 空き家でも、火災保険に加入しておく必要があります。 なぜなら、空き家は放火のターゲットになりやすいからです。 放火の被害に遭った場合、火災保険に入っていないと、空き家を処分するための費用、近所への見舞金なども負担しなければいけなくなります。 火災保険の保険料は、年間で数万円～数十万円という相場です。
その他の費用
その他の空き家の維持費には、以下のものが挙げられます。 ・光熱費 ・修繕費 ・剪定代 空き家の水道や電気などの契約を残しておく場合、各光熱費も必要になります。 普段使わない空き家であれば、それほど大きな額にはなりませんが、電気代には基本料使用料というものがあるため、全く使わなくても契約するだけで、年に15,000～20,000円程度が維持費としてかかります。 また、その他の空き家の維持費には、修繕費も挙げられます。 建物は時間の経過と共に老朽化が進み、雨漏りや腐敗、破損、サビなど様々な不具合が生じます。 空き家の修繕は業者に依頼するのが一般的で、どのような修繕工事でも、大体数万円～数十万円程度はかかるケースがほとんどです。 そして、空き家の維持費には、敷地内にある庭木などの剪定代も含まれています。 木が延びているのにも関わらず放置しておくと、近隣住民の迷惑になるおそれがあるため、専門業者による剪定を最低でも1年に2回は実施しましょう。 こちらの維持費もバカにならず、1年に数十万円程度かかる場合もあります。
空き家の維持が社会全体に与える影響
空き家の維持費を払い、そのままの状態をキープするのは所有者の自由ですが、このような空き家が増加することにより、社会全体には以下のような影響を及ぼします。 ・治安への影響 ・景観への影響
治安への影響
空き家が増えるということは、不良やホームレスの溜まり場になる場所が増えてしまうことになります。 ひどい場合には、勝手に住み着かれたり、私物のように利用されたりという行為が行われることもあります。 これらの行為は、知らず知らずの内に行われていることが多いです。 また、空き家が増えることにより、放火も発生しやすくなります。 放火をする犯人は、放火しやすい建物をターゲットにします。 老朽化しており、人が住んでいる気配もない建物は、もっとも狙いやすい建物となってしまうのです。 ちなみに、放火をする犯人は、1つのエリアで何件も放火を繰り返す傾向にあります。 そのため、空き家が多く存在するエリアはもっとも危険だと言えます。 もちろん、もしその放火が近隣住民の被害へとつながってしまったら、空き家の所有者は損害賠償を請求されてしまいます。
景観への影響
空き家を丁寧に管理している場合はまだ良いのですが、中には老朽化しようが、雑草が生い茂ろうが、何も対処しない方がいます。 建物というのは、誰でも住んでいない空き家の方が老朽化も早くなり、汚れも目立ちやすくなります。 そのエリアに普通に暮らしている方にとっては、このような景観を損ねる空き家が増える事は望ましくありません。 また、空き家が何軒か存在しているだけで、そのエリア全体の不動産価格が低下するという影響も考えられます。 つまり、適切な管理がされていない空き家が多いと、その地域が適切に管理されていない地域という扱いを受けてしまうということです。
まとめ
ここまで、空き家の維持費の詳細と、維持し続けることによる社会全体への影響について解説しましたが、いかがでしたでしょうか？ 空き家の処分にはある程度の費用がかかりますが、維持する場合もまた同じように、決して安いとは言えない維持費がかかります。 また、維持し続けることによる社会全体への影響は計り知れないため、今後使用する予定などがない場合は、早めに処分することをおすすめします。